〈減量目的のGLP-1作動薬で膵炎リスク9倍〉というニュースが医療者向けサイト、メディカルトリビューンに取り上げられていました。
糖尿病治療薬のGLP-1受動体作動薬を減量目的で使用する例が増加していて糖尿病の患者さんに行き渡り難くなっているとのことです。
本来、糖尿病患者のなかでもBMIの値の高い(つまり肥満体型の)患者さんのための治療薬だったのですが、体重減少効果が明らかなためにネットや美容医療業界でそういう使われ方をした挙句がこの結果です。
そもそも病的肥満のない人や糖尿病のない人が薬を使うこと自体、体重を落とすというベネフィットに比較してリスクが多すぎます。
薬には必ず副作用があります。一般的によく効く(効果の高い)薬ほど副作用も強いのです。
しかしそれはリスクとベネフィットを鑑みて選択しているのです。がん細胞を叩くためには正常な細胞への影響も避けられないのを許容せざるを得ない様にです。
そう考えると疾患など無い人がたかが減量のためにグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の受容体を作動させる薬を服用するのは甚だ安易だと思います。
世界的に話題のこのやせ薬も医師が警鐘を鳴らし上記(カナダの医師の論文)のようなエビデンスもいろいろ出てきました。
疾患ではない食べすぎと相対的な運動不足での体重増加を自助努力もせずに薬で解決しようとする思考も本質的ではありません。スジが悪いのです。
自由診療のため、経口薬はリベルサスなどですが月1万円程度だと思います。月2万円程度かかる自己注射薬マンジャロ(一般名チルゼパチド)などは週一回の使用でいいというのは簡便ですがもちろん安易に薬物で解決しようとする人向けではありません。
食欲不振による体重減少が薬の効果と思っていたら膵炎、胆のう炎など胆道疾患、胃不全麻痺、腸閉塞など消化器系の有害事象のリスクが報告されているのです。
有史以来、動物の基本的な欲求の一つである食欲。それを薬で抑えようという考えがどれだけ不自然な行為であるか。
しかも飢えて死んでしまわないためにエネルギーを可能な時に可能な限り取り込み蓄えようとして進化し遺伝子を繋いで備えた機能を、わざわざ吸収せず排泄するためにお金を出して薬を買う。
そのマッチポンプの先にその考え方を含め身体の美しさや健康などあるはずもなく。
そんな小細工を考えるよりもまず食生活、生活習慣、心の健康を整えるのが先ではないかと思わずにはいられないのです。
いや、というよりも心が健康ではない故の選択なのかもしれません・・・。
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