理不尽とどう向き合う~冤罪

晴耕雨読

現代の日本において理不尽なことは何かと問われたら何と答えるでしょうか。

突然の自然災害に一瞬にして平和を奪われる事という人もいれば、凶悪事件や交通事故に巻き込まれる事だという人もいるでしょう。

しかし、以前読んだ『 負けへんで!東証一部上場企業社長vs地検特捜部 』山岸忍著 文芸春秋 も理不尽という意味ではこれ以上ないくらいに理不尽な話でした。

前回の希少でかつ重篤な病気にかかるという事は、不運ではありますが誰のせいでもなく何らかの原因ではありますが発病のピースがそろってスイッチが入り自分の身体に起こったことです。

しかし、この事件は著者には何の落ち度、悪意もなくまさに青天の霹靂。

前歴のある女性と功名心からそれに乗ってしまった著者の部下の取引のごまかしから始まった事件です。

そこを存在価値維持のためにネタを探していた大阪地検特捜部に目を付けられて、稚拙な脚本の元に無理矢理事件にされてしまいます。

逮捕するまでは著者の仲間のようなふりをして気さくに心を開かせる女性検事。しかし、自分らが作ったストーリーに何とかはめ込もうと誘導尋問をしているのです。

そして訳も分からぬまま逮捕された後、取り調べの検事が代わっても一糸乱れず検察が作った同じストーリーを強要してきます。

ここで問題となるのが世界からも批判されている日本の「人質司法」です。

検察作成のストーリーを認めなければ3畳の独房に身柄を24時間拘束され外部と連絡もできず、情報を絶たれ、わずかな時間の弁護士以外は接見できずが何と8か月余り。

普通の人間ではおかしくなります。何しろ何も悪いことはしていないのですから。疑わしきが何故、独房での長期身体拘束なのでしょうか。この理不尽。

検察も裁判所も頭のいいエリートの集まりですから、被疑者が本当の事を言っているだろうと薄々感じているのになのに、なぜ。

当然、連日の恫喝と人格否定で人の顔色ばかりを気にする気の弱い部下と間に入ったブローカーはストーリーに同意してしまいます。

大阪地検特捜部は約17年前にもあの郵便不正事件でまじめだけど気の弱い部下などが拘束され検察作成のストーリーにはめられ、厚労省の村木厚子局長を1年3カ月も逮捕拘留しています。

いやいや、見るからにいい人でしょう村木厚子さん。山岸元社長は人相良くないかもしれません(失礼!)が村木さんは見たらわかるでしょう。そういう意味でも、不正を探して真相を追及するというどちらの意味でも見る目がありません。

鈴木宗男も有罪で服役、佐藤優も最高裁まで行って有罪(1年5カ月も逮捕拘留されたので当然の執行猶予)でしたが、あの事件も何が罪なのかさっぱりという事件です。

悪役を吊るしても誰も文句言わないでしょと言わんばかり。加えてただ検察が存在意義を世間に認識して欲しかっただけかと。

ホリエモンも同様、本人もYouTubeで何度も言っていますが既得権益を壊そうとして目を付けられたと。

衆院選で亀井静香に勝って国会議員になっていたら逮捕されなかったのにと安倍さんに言われたとも言っています。それ位犯罪など適当に作れてしまうのです。

しかし山岸氏は会社を守るため上場会社の社長を辞め損害額と心理面、肉体面の被害と云ったら計り知れません。村木さんもそうです。

しかしストーリーを作って恫喝した検察達は最後までその非を認めません。認めたらそれこそこの既得権益からはみ出てしまいますから。

心では文字通り無理筋だと思いつつ相変わらず真面目な顔をして現在も作り話を主張し人質司法で人権を無視し、さらには謝罪すらしていないのです。

大河原化工機事件では遺族に謝罪しましたが、捏造案件で何の落ち度もない一人の人生を壊しておいて謝罪でおしまいって・・。

自分たちの生活、家族、仕事は権力に守られつつ、無実の人間の平和な生活、家族、仕事を圧倒的な権力で弄びながら。

参照:『私は負けない 村木厚子』 聞き手構成 江川紹子 中央公論新社

   『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』佐藤優 新潮社

   『告発!検察「裏ガネ作り」』三井環 光文社

   『徹底抗戦』堀江貴文 集英社

 

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