中高年女性専用のスポーツジムで関節痛をこじらせた患者さんの症例を以前書きました。【症状をこじらせる人】(2025.5.13UP)。
先日今度は隣の区にある同じジムに通う70歳代女性が「背中が痛い」と来院しました。
2月に脇腹の辺りに帯状疱疹を発症して1カ月半ほど体調が悪く安静にしていたのですが、以前からそのジムのスタッフに内臓脂肪がたまると言われていたため「筋トレしなきゃ」と久々に行ったところ、その夜から痛み出したとのことでした。
次の日整形外科を受診しましたが医師はレントゲンを撮って背骨(胸椎)が圧迫骨折していることを指摘し、痛み止め(カロナール)を処方されたそうですが、それでも痛くて寝返りが打てないので「夜が来るのが怖い」と娘さんの紹介で来院しました。
背骨には今回の痛みの圧痛はなく、もう既に固まっている以前の圧迫骨折を医師は指摘したのだと思われました。
元々硬かった菱形筋という背中(肩甲骨と背骨の間)の筋肉が負荷が強すぎたせいで肉離れ様の炎症を起こしたような痛みでした。
頚から背中を中心に鍼をして、こわばった体を緩め体力をつける灸をして、特に痛い箇所に置き針(皮内針)をして終わりました。
これからの対策を尋ねられたので、そこに通う必要もメリットも無いのではないかとアドバイスをしました。
理学療法士など専門の知識のある人間が個別にメニューを作って指導するなら別ですが70歳代女性にマシンを使った筋トレは負荷どころか適否すら判らないので危険です。
しかもお腹に内臓脂肪が溜まるからと言われプロテイン(?)も買っていました。
「いやいや、そのぷよぷよのお腹は皮下脂肪ですよ」と。内臓脂肪は固太りのビール腹のような男性のお腹です。
年齢とともにお腹周りがたるんで多少脂肪がつくのも、胸やお尻の肉が垂れるのもごく自然の経過です。
しかもサブスク料金も値上がりして7000円位とか言っていました。年間8万円です。
それならテレビ体操をして小松川大島公園を散歩して浮いた7000円で毎月美味しいものを食べたほうがずっと有効で健康的ですよと力説しました。
少なくとも普段使わない筋肉をわざわざ傷めることはありませんからと。何なら整形外科医院代、ここの治療費も要らなかったのですから。
普段着で手軽にできると考えるのかもしれませんが、それなら散歩、ウォーキング、ジョギング、ストレッチなどの運動なんて本来無料なのです。
筋トレ、フィットネスクラブが好きな人、それが楽しい人はお金を払って行けばいいのです。
運動や健康にお金がかかるという商業主義的な考えは改めた方がいいと思います。
基本的に運動も健康も日々の生活の中に含まれ、存在しているのですから。
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