認知症対策の鍼灸治療をしていることを書いていると来院があります。
後期高齢者にとって江戸川区は「江戸川区三療制度」という鍼、お灸、マッサージを200円で年間15回も受けられるというめちゃくちゃ有難い制度があるので気軽に踏み出せるのです。
家族に行ってみたらと言われて来院する患者さんもいますが、そうだったとしてもやはり自分でも少しおかしいことは薄々気付いているのです。
その辺はひたすら否定、隠す、ごまかす人もいますが不安と共に私や家族に打ち明ける人もいます。
また、単純に歳のせいなのだと(仕方なく)受け入れる人もいます。
初期の微妙な症状では病院に行っても血液検査のように数字で出るような判り易くはっきりした線引きがあるわけではないので微妙な判断が出たりします。
軽度認知障害(MCI)と診断された方で凹んで来られる患者さんも一部いらっしゃいますが、必ず認知症へと進行していく訳ではありません。
そこから先は人それぞれなので、対策、心掛け次第でこの先をある程度コントロールできると考えられています。
当然のことながら人は生きている以上は歳を取っていきます、老化もします。見た目も同様で大体の年齢が判るのはそういうことです。
しかしそこはある程度年相応ですが、生活習慣に気を付けて身体を自分なりにベストな状態に保とうと意識し、努力して日々送っている人はやはり違いが出やすいのです。
違いというのは時間の経過に対する進行速度の下りの傾きが何の対策もしない人に比べて緩やかになってくるということです。
それは早めの診断を受け定期的に通院し、薬を服用しながら様子を見るということも含まれます。
昔は耄碌、少し前までは痴呆、ボケと言われてこの世の終わりのような雰囲気も漂っていましたが現在はだいぶん様相が違います。
これだけ高齢者が増えたことにより介護サービスも整い認知機能を維持する薬も出てきて、症状はあるけれども助けを借りながら自立した生活を送れる方もいます。
認知症といっても高度、中度、軽度、MCI、それ以前の更に微妙な状態を含めると個人差がある為ひとくくりにはできず、軽度のまま長く過ごされる方もいました。
そこからご本人や家族にアドバイスとして言えることは是非、安心できる環境で生活していくということを考えていただきたいのです。
本来の性格や現れる症状によっては抑うつ状態も出現することもあるのですがそこは無理をせず少しずつ、周囲も無理強いせずが大切です。
脳トレを嫌々やっても意味がありませんし、数独が大好きでいつもやっていた患者さんが数独はできるが日常生活が成り立たなくなった例もありました。
この先の経過がどうなるのかは判りませんが苛立ちや不安が強いと気持ちも抑えにくくなりますし決していい方向には向かいません。
ですから「安心」が大事になります。とりあえずにしても「きっと大丈夫、うまくいくよ」と言えること、思えることが大切なのです。
なるようにしかならないのですから。
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