FIREの真逆を行く

仕事

ここ数年、FIREという言葉が出てきてそれに関する本も何冊か出されています。FIREとはFinancial Independent Retire Early の略で経済的に自立して通常より早く仕事から引退することを意味するのですが、要は働かずに死ぬまで食べていける経済状態、ライフスタイルのことです。

それに近いのですがフルで仕事をしていないという状態はサイドファイヤー(働いているけれど好きな仕事、好きな時間だけ、もしくは軽めに稼ぐ)と呼びこちらの目標設定額は当然FIREより低めの設定ということになります。

FIREは固定費を主として出費を減らし可処分所得の大部分を長期間投資をして複利の力で増やしその配当収入が年間の生活費を上回った状態と言えばいいのでしょうか。

具体的には年間支出の25倍を貯め、それが年間4%の運用益を出し、それが年間の生活費になるので元本は減らないから働かなくても大丈夫という感じらしいのですが。

月20万円必要なら年240万、25倍で6000万です。これを貯めるのは厳しい。普通に考えれば無理です。家族を持てば出費も格段に増えるのでなおさら無理です。

何冊かその手の本を読みましたが、そもそもかなりの高給で二馬力もしくは独身のため、基礎となる種銭も投資額も多くその気になればと期待させるものがあります。

仕事が嫌でしょうがない人(著者は会社を豚舎とまで書いています)なら相当なモチベーションなのでしょうが、そこまで自分の仕事、会社が嫌いっていうのも不幸なことだなという率直な感想でした。

もちろん全てのFIREしている人がこの著者のようではないでしょう。実際、ブログやYouTubeではFIREしている医師や実業家などが何人もいて、FIREしていますが仕事もしていて経済的自由のアドバイスや手法の発信をしています。

それは必ずしもFIREのためではなくもっと効率よく資産形成しましょうという助言としての発信です。こちらの方が自分が好きでやっている仕事なので仕事自体も楽しくやりがいもあってお金も貯まり、何しろ自分が経営者もしくはフリーランスですから定年もなくやめる気もないのでリタイアアーリーとは全く反対の生き方になります。

僕がFIREに関して感じた違和感もまさにそういうことで、そんなに仕事が嫌ならそこから逃避すべくお金を貯めて早々にリタイアしても果たしてそれが楽しいのか保証できないのではないかと思うのです。

節約、貯金、投資が手段ではなく目的になってしまっていてそこからの展開が想像できないのです。

編集技術やごく普通の一般人というのも加味する必要があるかもしれませんが、FIRE後の日常を配信しているYouTubeが多数上がっていますがどれも「だからどうなの」という感じなのです。

「老後2000万円問題」というのがありましたが、必要なお金、必要と思うお金なんて人それぞれ違うのですから、一年分の生活費があればあとは健康に留意して「人的資本」を生かして自分で好きな仕事、もしくは嫌にならない程度の仕事量にしていれば、当然そこそこ楽しいし、一生懸命やりますし、そこそこ好きなことをしていてお金が稼げる、これが超長い夏休みともいわれる人生の過ごし方なのではないかと思うのです。

参考:「FIRE 最強のリタイヤ術」 クリスティー・シェン ダイヤモンド社
    「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門」 穂高唯希 実務教育出版
    「#シン FIRE論」穂高唯希 KADOKAWA
    「とにかく死なないためのしょぼい投資の話」えらいてんちょう 河出書房新社 

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